立花峰夫のワインコラム

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Vol.1 ワイナリーのソーシャル・メディア活用

マーケティング大国アメリカはIT先進国でもありますので、当然のことながらウェブ・マーケティングも大変盛んです。ワイン生産というローテク、アナクロな業態であっても、近年はFacebook、Twitter、YOUTUBEなどのソーシャル・メディアを使ったマーケティングを皆熱心にやっています。公式ウェブサイトなど、ヨーロッパのボロっちい三ちゃん系ワイナリーでも当たり前に持っている時代。「うち、こんなワインつくってます。美味しいですよ」とひっそり紹介しているだけでは激しい競争に勝てません。少し古い数字ですが、2011年にワイン・スペクテーター誌から90点以上の評点をもらった、アメリカ産ワインの銘柄数は5000もあります。一昔前まで、パーカーやスペクテーターの90点以上は商業的成功に直結していましたが、もはやそんな時代でもないのです。

Vol.2 もし「パリスの審判」で加州が勝たなかったら

「イギリス産スパークリングワインが、ブラインドテイスティングでシャンパーニュを撃破したぜい!!」というニュースが、先月末各所で報道されていました。企画したのは、Noble Rotという2013年創刊のワインと食の雑誌で、審査員はジャンシス・ロビンソン、ニール・マーティン(ワイン・アドヴォケイト)、ジェイミー・グッドといった大物を含む12名。Hambledon、Nyetimberというイギリス勢がワンツー・フィニッシュを決めたことから、「これは『パリスの審判』に匹敵する歴史的勝利だあ」と喜んでいるイギリス人もいるようです。結果の詳細は下記の記事をご覧ください。

Vol.3 ミレニアル世代が変えるワイン消費

若いひとたちはワインをどんなふうに飲んでいるのでしょう?

個人的にはかなり知ったこっちゃないのですが、業界的には大問題でして、なぜなら年寄りはいずれ死ぬからです。日本の若者は人数が少ない上に、たいしてワインも飲まず、そもそも酒自体をあんまり飲まずと、ほとんどいいところがないのですが、アメリカの若者は違っておりまして、すでに市場を動かす存在になっています。

Vol.4 グラスワインの売上を増やす秘密の方法

若いときと比べて20キロも体重が増えてしまったのですが、そんな私にとってアメリカは素敵な国です。目を疑うぐらい大きな人がいっぱいいるので、とても心が安らかになります。とはいえ、肥満はアメリカでは大きな社会問題でして、「なぜひとは太るのか」を真面目に研究している人が沢山います。コーネル大学のブライアン・ワンシングという先生もそのひとり。心理学的アプローチで、「食べ過ぎ」がなぜ起きるかを考えていて、10年ほど前に『そのひとクチがブタのもと』というタイトルの本を出しました(タイトルはちょっとあざといですが割と真面目な本です/残念ながら絶版)。

Vol.6 有機栽培認証のコスト

前回に引き続いて有機栽培の話題です。産地を問わず、「実質的に有機栽培だけれど、認証はとっていない」という栽培家は少なくありません。もちろん、言うのはタダというナンチャッテの人もいるでしょうけれど、認証コストを負担するのがイヤという理由の人もいます。じゃあ、有機栽培の認証には、実際どれだけのお金がかかるものなのでしょうか。アメリカのワイン製造業界誌『Wines&Vines』の昨年12月号に、試算が載っていたのでちょっと見てみましょう。

Vol.7 ピアス病に人類は勝てるのか?

小学生の頃、住んでいたあたりで赤痢の流行がありました。級友がひとり欠け、ふたり欠けと入院していくたびに、激しく戦慄していたのを今も生々しく思い出します。いやあ伝染病ってマジ怖いです。きょうび、赤痢で死ぬひとはほとんどいませんが、これが死に至る病ならどんなに恐ろしいことでしょう。

Vol.8 有機栽培は100%エコか?

しつこく続く有機栽培ネタ第3弾ですが、今回で一応シリーズ完結、次回からは別の話題になります。

いわゆる「自然派」と呼ばれるワインが好きかどうかはさておき、昨今見られる「自然派翼賛体制」はかなり気持ち悪いと個人的には感じています。どんなことでも反対意見というのはあってしかるべきなのですが、こと自然派の議論については「自然を愛する心の綺麗な人」対「悪しき現代科学に頼るダメな人」という、勧善懲悪の論調ばかりが目立ちます。それでもまだ、出来上がったワインの品質については、「あからさまな醸造学的欠陥があるのは、消費財の品質管理上いかがなものか」という意見を聞くことがありますが、ことブドウ栽培に関する限り、有機栽培の良くないところを論じた文章をほとんど目にしません。

Vol.9 都市型ワイナリーはどこでブドウを育てるか?

世界各地で、都市型ワイナリーが爆発的流行中です。ジャンシス・ロビンソン編纂のスーパーワイン辞典 The Oxford Companion to Wineにも、昨年秋刊行の第4版からUrban Wineriesという見出しが加わりました。一過性のブームでは終わらず、新しい形のワイン・ツーリズムとして定着するのではないかと思います。

Vol.10シャンパーニュの聖戦とセミ・ジェネリック・ワイン

フランス・シャンパーニュ地方の生産者団体CIVC(シャンパーニュ委員会事務局)は、産地名保護に関して過剰ともとれる反応をすることで知られます。「悪い子はいねがあ」と常に目をギラギラさせており、Champagneの名を「不正利用」する不届き者を見つけようものなら、もうペチャンコにするまで許しません。その戦いの歴史は、一冊の本が書けそうなぐらい膨大な訴訟の数々によって編まれているのですが、最近また新たな1ページが加わりました。

Vol.11 DIAMの人気は本物か?

いつのまにやら私たちの暮らす世界はエラいことになっています。車が勝手に運転してくれたり、人工知能の書いた小説がけっこう面白かったり。そんな中で、ワインはいまだに「本気ですか?!」と思うぐらい時代遅れです。

Vol.12 「新世界」というのをそろそろやめませんか?

「新世界」という言葉を初めてワインについて使ったのは、かのヒュー・ジョンソンなのだそうです。1970年代末のこと。ヒュー爺さんが使った当初、カリフォルニア・ワインなんかはそれこそ「パリスの審判」のすぐあとで、「カッコいい。刺激的」というニュアンスが、「新」の語に込められていのではないかと。ただ、そうした「新興産地」がちっとも新しくなくなった昨今、「新世界」という言葉は、どちらかというとネガティブな含意を伴うようになってきたと思われます。差別用語とまでは言いませんが、軽い侮蔑の匂いが感じられるのです。少なくとも、ヨーロッパの生産者たちが口にするこの言葉には、「ケツの青いガキがえらそうに。テメエがカアちゃんの乳飲んでる頃からこっちは親方張ってんだよ」という感じの、ある種の優越感がにじんでいます。

Vol.13 合成ワインが描き出す未来図

何年か前から、唐突にクラシック音楽ばかりを聴くようになりました。コンサートにはほとんど行かず、もっぱら古い演奏のCDを買っては家で聞いています。なぜかというと、とってもお安いからです。たとえばですが、20世紀ベスト3に入ると広く認められている、指揮者カール・リヒターによる『マタイ受難曲』(1958年録音)の3枚組CDは、輸入盤ならアマゾンで2500円で売っています。リヒターのマタイというのは、ワインで言うならばアンリ・ジャイエのクロ・パラントゥー1978みたいなものです。でも、今ではたったの2500円。ポチっと押せば翌日に届くお手軽さ。複製芸術ってスゲエなあとつくづく思います。同じものを、劣化しないクオリティで無限にコピーできるので、衝撃的に安い値段になっていくのです。

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