立花峰夫のワインコラム

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Vol.62 ワイン翻訳カタカナ事情

数ヶ月前になりますが、ジャンシス・ロビンソンほかによる大著『Wine Grapes』(原書刊行2012年)の翻訳本がとうとう出ました。どういう本かといいますと、世界中のワイン生産国(42カ国)において、商業ベースで用いられているブドウ1,368種を対象に、その起源、別名、栽培特性、主な生産地域、ワインの特徴などなどを詳細に記した事典です。邦訳名は『ワイン用葡萄品種大事典』(共立出版、税別42,000円)。大事典の名にふさわしく、総頁数は堂々の1,500。一日一品種ずつ、あるいは一頁ずつ読んでいっても、読み終わるまでには4年ぐらいかかるという大作でして、4年経つころには最初に読んだ頁など忘れているに決まっているので、半永久的に読み続けられるというお得な本であります。

Vol.61 たかがアルコール、されど……

遅ればせながら、『ナパ奇跡のぶどう畑』という本を読みました。シェーファー・ヴィンヤーズの現当主、ダグ・シェーファーによるワイナリーの物語です(原書刊行2012年、日本語版刊行2014年)。ワタシは、ワイン生産者当人が書いたものはその事実だけで尊ぶのを慣わしにしているのですが、この本もなかなかの良書であります。シェーファー・ヴィンヤーズ、あるいはナパの現代史に興味がある方は、ぜひお手にとって読んでみてください。すでに絶版ですが、古書はアマゾンほかで手に入ります(お取引先の皆様は、布袋ワインズの営業担当者に、「貸してくれ」と頼んでみてください)。

Vol.60 缶ワインについて私が知っている二、三の事柄

缶ワイン、日本市場でもちらほら見るようになりましたね。布袋ワインズも、ヘッド・ハイというピノ・ノワール100%の缶ワインを販売しています。アメリカ市場では結構なブームになっていて、昨年時点でアメリカ産缶ワインのブランド数は100ほど、2015年と比べて約8倍になっているそうです。いまだ、アメリカのワイン市場全体の0.4%を占めているに過ぎませんが、調査会社ニールセンのレポートによれば、今年6月までの1年間に、数量ベースで49%も伸びているそうですから、いかに急成長しているセグメントかというのが伺えます。なお、同じ1年間の成長率、価格ベースでは69%だそうなので、高品質・高価格化というのが、この調査から見てとれるもうひとつの傾向です。今年7月には、カリフォルニアで「第1回国際缶ワイン・コンテスト International Canned Wine Competition」なるものも開かれており(下記URL)、アメリカ、フランス、イタリア、スペイン、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスから200銘柄以上のエントリーがあったとのこと。200もあるとはちょっと驚きですな。

Vol.59 ギャリー・ファレル物語その2

~RRVのテロワールとブレンドを考える~

カリフォルニアは広いです。一州だけで日本の総面積を上回りますし、フランスの総面積と比べても、8割弱あります。なので、「気候が冷涼で、優れたピノ・ノワールができる産地」といってもたくさんあるのですね。南から、サンタ・バーバラ、サンタ・ルチア・ハイランズ、サンタ・クルーズ・マウンテンズ、カーネロス、ロシアン・リヴァー・ヴァレー、ソノマ・コースト、アンダーソン・ヴァレーなど。当然ながら、流行廃りはこうした産地間でもありまして、いま人気なのは圧倒的に(トゥルー・)ソノマ・コースト、次点が根強い人気を誇るサンタ・バーバラというところでしょうか。「寒ければーそれでーいいんーだー」の、冷涼・寒冷至上主義が、目下カリフォルニアのPNシーンでは幅をきかせているのであります。

Vol.58 ギャリー・ファレル物語その1

~カリフォルニアPN スタイルの変遷を考える~

8月末、布袋ワインズが昨年から輸入を始めた古くて新しいワイナリー、ギャリー・ファレルの支配人、ナンシー・ベイリーが来日してプロモーションを行いました。筆者は通訳兼セミナーのモデレーターとして2日間、彼女と過ごしたのですが、いろいろと考えさせられることがあったのです。そんなワケで、今回と次回のコラムでは、ギャリー・ファレルを通じてカリフォルニア産ピノ・ノワールのスタイルについてと、ロシアン・リヴァー・ヴァレーのテロワールについて書かせていただきたいと思います。

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