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Vol.10シャンパーニュの聖戦とセミ・ジェネリック・ワイン

作成日時 Fri, April 15, 2016
カテゴリー: 立花峰夫のワインコラム

フランス・シャンパーニュ地方の生産者団体CIVC(シャンパーニュ委員会事務局)は、産地名保護に関して過剰ともとれる反応をすることで知られます。「悪い子はいねがあ」と常に目をギラギラさせており、Champagneの名を「不正利用」する不届き者を見つけようものなら、もうペチャンコにするまで許しません。その戦いの歴史は、一冊の本が書けそうなぐらい膨大な訴訟の数々によって編まれているのですが、最近また新たな1ページが加わりました。

 

今回の相手は、スペインのお子様向け炭酸飲料「 Champín 」。スペイン中のスーパーで、750ml入りが1本3ユーロぐらいの値段で売られているのだそうです。飲んだことはありませんが、パッケージを見る限り実に楽しそうな飲み物であります。日本のシャンメリーみたいなもんでしょうな。

 

(Champinのパッケージはこちら)
http://espadafor.es/es/32-champin

 

日本のシャンメリーも、昔は「ソフトシャンパン」という名前だったのが、フランスからの圧力によって改名されたものです。なので、スペインのChampínについても当然、「似とるやないけ、そっくりやないけ、変えたらんかい」と、CIVCは訴えました。しかし、スペインの最高裁は3月7日、「フランス産スパークリング・ワインと、フルーツ味のお子様飲料は関係ないし」と、CIVCの訴えを退けたのです。CIVCや大手シャンパーニュ・メゾンは、これまでかなりの無理筋でも勝利してきた戦歴がありますので、今回のニュースにはちょっとばかり驚かされました。

 

例えば、かつてイヴ・サン・ローランが販売していた香水「Champagne」の例。モエ・エ・シャンドン社ほかのメゾン連合軍に訴えられて負け、その名を「イヴレス YVRESSE」に変えさせられています。香水とワイン、まったくジャンルが違うのですから、消費者が「間違えて買う」なんてことはあり得ないわけでして、これはかなり強引な例でしょう。ま、気持ちはわかりますけどね。イヴ・サン・ローランの香水自体は、高名なスパークリング・ワインのイメージを傷つけることにはならなかったでしょうけれど、蟻の一穴がダムを壊すことを恐れたのではないかと。香水での使用がOKとなってしまったら、それこそどこかの製薬会社が、「トイレに◯◯ シャンパーニュの香り」とかをすぐ発売しそうですし。トイレの芳香剤だとどうしていけないのか、と問われたら答えに窮するわけです。

 

スイスのシャンパーニュ村の事例もあります。スペルがたまたま同じChampagneで、たまたまワインを造っていたもんだから、やっぱりナマハゲの怒りを買います。700名ほどしかいない村人たちは、「ウチの村のワインはスパークリングじゃない。外国に輸出されることもないし、量だって一年に30万本もない。見逃してくれんか」と訴えたのですが叶わず、2004年以降は村の名前が使えなくなってしまいました。結果としてワインの販売数量が激減したそうなので、スイスの人たちにとってはションボリしてしまう悲しい話です。

 

こんなふうに書くと、CIVCや大手シャンパーニュ・メゾンが血も涙もない鬼みたいですが、厳しい対応を取らざるをえなくなった歴史的経緯があるのですね。そう、アメリカなどの国で生産・販売されてきたセミ・ジェネリック・ワインです。

 

セミ・ジェネリック・ワインというのは、「シャンパーニュ」、「シャブリ」、「ポート」、「バーガンディ」といった、欧州の有名ワイン産地の名前を付けた安価なワインで、アメリカやオーストラリア、チリ、南アフリカといった国々で、かつては広く生産されていました。これは、「たまたま村の名前が一緒だった」みたいな悪意のない例とは違って、「誤解」または「イメージ拝借」を狙ったショバ荒らし。なので、EUは各国に猛烈な圧力をかけました。その結果、アメリカ以外の国はこうしたセミ・ジェネリックの生産・販売を取りやめたのですが、アメリカだけは未だ完全には同意しておらず、EU側にとっては頭痛の種であり続けています。

 

アメリカ政府も、2006年3月にEUと結んだ通商協定で、「今後新たにセミ・ジェネリック・ワインのブランドは作りません」というところまでは妥協しています。しかし、その通商協定以前からあるセミ・ジェネリックのブランドは、この通商協定から除外されているため、いまだにアメリカ国内のスーパーなどでは、ひどく安価なアメリカ産「シャブリ」や「シャンパーニュ」が売られているのです。

 

このはっきりしないアメリカの状況に対して、EUやシャンパーニュの人々は当然憤懣やるかたないわけなのですが、そんな中、先日ナパ・ヴァレーで「ちょっといい話」がありました。ナパでポート・スタイルの酒精強化ワインを造るワイナリー3社が、これまでラベルに表示してきた「Port」の文字を、自主的に外すと発表したのです。近年、ナパの生産者団体であるNVV(Napa Valley Vintners)は、Napaという名称を国際的に保護する運動をせっせと展開しておりまして、その中で自らの襟を正そうということになったようです。NVVの代表は、今回の自主的取りやめに関して、「他の産地にナパの名を尊重するように働きかけるんだから、自分たちも同じようにしなきゃね」とコメントしたのですが、そりゃそうですな。アメリカにも、今では世界に誇るべきワイン産地名が沢山あるのですから、お互いを敬い合う美しい関係を目指していってほしいものです。

 

<参考サイト>
http://www.thedrinksbusiness.com/…/champagne-fails-to-take…/
http://winereport.blog.fc2.com/blog-entry-1988.html

 

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立花峰夫:
ワイン専門翻訳サービス タチバナ・ペール・エ・フィス代表。
様々なワイン関連企業にコンサルティングを行う傍らワインライターとして専門誌に寄稿も行う。訳書・監修書多数。
(タチバナ・ペール・エ・フィス:
http://www.tpf.kyoto.jp)
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