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Vol.24 新しいカリフォルニア・ワイン

作成日時 Tue, November 15, 2016
カテゴリー: 立花峰夫のワインコラム

2016年の今、カリフォルニア・ワインのエレガント化は、もはや止まらない流れなんだろうなと思います。世界全体がそっちに動いているのですから、抵抗勢力がいかに頑張ったところでいずれ堤防は決壊します。もちろん、10年後、20年後にも、一昔前までの典型的なカリフォルニア・ワインは生き続けているでしょう。別にかまいません。残りが少なくなってきたら瓶を逆さにし、最後はケチャップを絞り出すように瓶をしごかないと中身が出てこないようなワインが売られていても、それはそれでまったくいいのです。テスラやプリウスみたいな車がそこら中を走り回っている中に、トヨタ2000GT(1967-1970)がひょっこりいるようなもので、むしろクールじゃないかと。ただし、それは懐古趣味のクールさであり、マイノリティの輝きでしかありえません。

 

先月、「新しいカリフォルニア・ワイン」の勃興をジャーナリストとして支えたジョン・ボネが初来日し、東京、大阪、京都でセミナーやイベントを行いました。改めて、彼がしてきた仕事ならびに「新しいカリフォルニア・ワイン」とは何かを学ぶ良い機会となったのですが、要約すると、2010年代頃から雨後の筍のように生えてきた「新しいカリフォルニア・ワイン」とは、次のような点が新しかったのです。

 

●「濃厚風味の短寿命ワイン」ではなく、「低アルコールでエレガント、長期熟成可能なワイン」
●1960~1970年代に造られていたカリフォルニア・ワインの、「こだま」が響くワイン
●多様なブドウ品種へ向かおうとする世界的な潮流に沿ったワイン
●旧世界の技術を尊重しつつも、旧世界の模造品ではないワイン。
●テロワールの重要性に敬意を払うが、カリフォルニアらしい果実味、太陽の恵みをもつワイン
●少量生産だが、カルトワインのような非常識な価格ではなく、一般人にも手の出るワイン

 

ボネは来日セミナーにおいて、こうしたワインは「気が遠くなるほど長いワインの歴史・文化の中で、最もお値打ちなもの」だと主張していました。個人的には、ボネの考えに強く同調します。

 

「お値打ち」という点には、反対する人もいるでしょう。たとえば、「新しいカリフォルニア」の旗手のひとりであるテッド・レモン(リトライ)のフラッグシップである、サヴォイ・ヴィンヤード・ピノ・ノワール2013の日本における標準小売は12000円(税別)です。確かに安いワインではありません。しかし、ブルゴーニュの価格が暴騰している近年、「その値段出すんだったらブルゴーニュ買うわ」というモノ言いは、もはや成り立たなくなっています。いまどき、そこそこ立派なブルゴーニュの一級畑は15000円オーバーですし、特級畑については言わぬが花でしょう。少なくともこれからの数年間、ブルゴーニュの価格は上昇し続けます。いや、ブルゴーニュの値段が高いのがイケナイというのではないですよ。カリフォルニアの価格だって、昔と比べればエラいことになっているのですし、すべては相対的なモノサシの中での話でしかありません。

 

ただ、私が強く主張したい「新しいカリフォルニア・ワイン」の素晴らしいところは、旧世界のトップ産地と比べての価格競争力ではありません。「ほかにはない、この場所でしか出せないユニークな味わい」が、明瞭に感じられる点なのです。1990年代半ばから2000年代にメイン・ストリームだった「濃厚なカリフォルニア・ワイン」とは、そこが大きく違います。

パラダイム・シフトという概念があります。科学史家のトマス・クーン(1922-1996)が提唱したもので、ウィキを引用しますと、「その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが革命的にもしくは劇的に変化することをいう」。カリフォルニアで2010年頃から起きたことは、まさにこのパラダイム・シフトでした。これほど鮮やかな例が、ワインの世界で見られたことは稀でしょう。

 

「ハングタイム」とか、「生理的成熟」という言葉が、1990年代半ばから2010年前後までのカリフォルニアでは絶対的な正義でした。温暖な場所が多い彼の地では、ブドウの糖度が26~28度ほどの過熟状態にならなければ、風味成分の成熟が得られないという議論です。ボルドーやブルゴーニュのような産地では、低い糖度で風味成分の成熟が得られるかわりに、補糖によるアルコールの嵩上げが必要となり、カリフォルニアやオーストラリアのような産地では、高い糖度でしか風味成分の成熟が得られないので、逆浸透膜やスピニング・コーン、加水といった方法でのアルコール低減処理が必要になるのだと。みんな、造り手も流通も消費者もそれを信じていました。

 

でも、実はそんなことはなかったのです。比較的温暖な、たとえばナパのような産地でも、かつ気候変動によって30~40年前よりうんと平均気温が上がっていたとしても、余計なイタズラ無しでアルコール13%台、それでもしっかり風味の成熟したカベルネは造れるということを、「新しいカリフォルニア・ワイン」は証明してくれました。加えて、そういうワインのほうが、明らかにその場所らしい味がするのだと。一方、糖度28度のブドウから生まれるワインは、それが世界のどこからきたものであっても、相当に似通った味がします(もちろん、十把一絡げにできないところはありますが)。どちらがよいかは、ワインに何を求めるかによって変わるのでしょうけれど、私は前者を選びたいと思います。ワインはやっぱり、コカ・コーラとは違っていてほしいと思うからです。


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立花峰夫:
ワイン専門翻訳サービス タチバナ・ペール・エ・フィス代表。
ワインライターとして専門誌に寄稿も行う。訳書・監修書多数。
(タチバナ・ペール・エ・フィス:
http://www.tpf.kyoto.jp)
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