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Vol.67 ワインの名前はムツカシイ

作成日時 Sat, February 01, 2020
カテゴリー: 立花峰夫のワインコラム

ワインの「名前」って何なの?というのは、実は面倒くさい問題であります。ワインスクールで教えたりしていると、初学者の生徒さんから「先生、このワインの名前は何ですか?」みたいな質問が出たりするのですが、なかなかこの問いにはシンプルに答えにくい。ここでいう「名前」とは、「そのワインを指すときに普通使う、最小限の単語の並び」とでも言いましょうか。ただそれは、ワインの生産地やその造り手のポートフォリオ、あるいは知名度などによって変わってきまして、わかりやすい法則性がないのです。

 

たとえば、DRCのロマネ・コンティの場合、ただ「ロマネ・コンティ」と言います。単独所有畑だから、いちいち「DRCのロマネ・コンティ」と言わなくてもいいわけですね。ブルゴーニュでも、単一所有でない畑の場合だと、「アルマン・ルソーのシャンベルタン」と、生産者名+産地名(畑名)というパターンになるでしょう。ただ、これがボルドーだと事情が変わりまして、シャトー・ラトゥール(のグラン・ヴァン)は、ただ「シャトー・ラトゥール」と呼ぶのであって、「シャトー・ラトゥールのポイヤック」とはまず言いません。生産者名だけで「名前」になってしまいます。

 

新世界の場合はどうかというと、ここに品種という要素が加わるのですが、これまた一筋縄ではいきません。とはいえ、基本的には生産者名+品種名が「名前」でして、「トレフェッセンのシャルドネ」とかですね。「トレフェッセンのナパ・シャルドネ」と言ってもよいのですが、トレフェッセンがナパのワイナリーであることは周知で、かつこの蔵にはシャルドネが一種類しかないので、ナパは省略することができるでしょう。ただ、これも例外がありまして、その蔵のフラッグシップがあまりに有名な場合は、品種名ですら省略されてしまいます。たとえばスクリーミング・イーグルには、フラッグシップのカベルネと、ザ・フライトというセカンド・ワインがあるのですが、フラッグシップを指す場合には単に「スクリーミング・イーグル」とだけ言います。

 

また、新世界ワインでも、品種名抜きで、あるいは品種名に加えていわゆるファンタジー・ネームが付けられているワインというのがありまして、「オーパス・ワン」、「ドミナス」、「ヒルサイド・セレクト」なんかが該当します。最後の例については、もちろん「シェーファー・カベルネ・ソーヴィニョン・ヒルサイド・セレクト」と呼ぶのがまあ正式なのですが、世に出回るワインの中で「ヒルサイド・セレクト」といえば、すなわちシェーファーのフラッグシップだと知られているので、それだけで済むのです。ああややこしい。

 

そんなわけで、あれやこれやでワインの「名前」は決まってくるのですが、問題はその名を造り手が選べる場合と選べない場合があるということです。その点、旧世界のワイナリーは不利でして、産地名は法律で決まっている、生産者名も代々引き継がれてきたもの、品種名はラベルに表示できないことが多い(しかも、何を植えていいかまで法律で決まっていることがほとんど)と、制限でがんじがらめです。一方、新世界は高度消費社会になってから生まれたワイナリーが大多数で(つまり、設立時に生産者名を熟考してつけられる)、品種は植えたいものを植えられるし(たとえばメルロみたいな、美しい名前の品種を選べる)、ファンタジー・ネームに至ってはもう好き放題。ずいぶんと恵まれています。

 

ワインも消費財なので、当然ネーミングは極めて重要でして、売上を大きく左右します。ブランド・マーケティングにおけるネーミングの鉄則にはいろいろあるのですが、いの一番に来るのは、「短く、発音しやすい」というもの。車の名前なんかを想起してもらうといいでしょうかね。トヨタであれば「アクア」とか「ヴィッツ」とか「カローラ」とかです。最近、マツダが「アクセラ」、「デミオ」といった車名をすべて廃し、「マツダ3」、「マツダ2」とかの数字の車名に変更して話題を呼びましたが、これでも「短く、発音しやすい」の鉄則からは外れてはいません。社運を賭けた新車を上市するにあたって、「ピースポーター・ゴルトトレプフヒェン・ベーレンアウスレーゼ」とか、付けるバカはいないわけです。

 

名前がもつ「語感」の善し悪しも、同じぐらいに重要であります。前回のコラムでも書きましたが、メルロが1990年代のアメリカで人気爆発した理由のひとつが、「短く、発音しやすく、美しい」その名前でした。アメリカ市場でここのところずっとピノ・グリージョが人気なのも、その語感の良さにあると思われます。フランス語名のピノ・グリではなく、イタリア語名のピノ・グリージョであることがポイントでして、アメリカのTVドラマなんかを見ていると、バーで女性が「ピノ・グリージョをグラス一杯いただけるかしら?」などと、品種名に力を入れてドヤ顔で注文しているのです。

 

語感の善し悪しでも、旧世界の蔵元は運任せなのが悲しいところ。アメリカ人お笑いワインライター、レナード・S・バーンスタインの名著『ワイン通が嫌われる理由(わけ)』(時事通信社、絶版)という本では、声に出して発音したい美しいワイン名の例として「プイィ・フュイッセ」が、ちょっとアレなワイン名の例として「シュロス・フォルラーツ」が挙がっていました。激しく同意。このへん言語感覚は、アメリカ人でも日本人でも一緒なのねと感じ入った記憶があります。

 

この話、次回に続きます。

 

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立花峰夫:
ワイン専門翻訳サービス タチバナ・ペール・エ・フィス代表。
ワインライターとして専門誌に寄稿も行う。訳書・監修書多数。
(タチバナ・ペール・エ・フィス:
http://www.tpf.kyoto.jp)
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