カリフォルニア州ソノマ郡ドライ・クリーク・ヴァレーの民宿の子として生まれたキャンベルは、両親がヴィンヤードを営んでいたこともあり、幼い頃からナパ・ソノマの地酒(ワイン)に囲まれ、学生時代はワイナリーでラベル貼りのアルバイトをして少年時代を過ごしました。スタンフォード大学卒業後、初めて日本を訪れましたが、その理由は「囲碁の修業」でした。(NHK囲碁番組に金髪の青年棋士として出演したこともある)
その後JPモルガンなど大手金融企業で勤めイギリスや香港などで過ごした後、転属のため再び東京で暮らす事となり、ある日何気なく入った都内のワインショップで故郷のワインの現状に愕然とします。そこには高級そうなナパヴァレーのシャルドネやカベルネだけが、現地の3倍もする卒倒しそうな価格で整然と並べられていたからです。この現状を変えたいと考えたキャンベルは仲間の協力を得て、仕事の傍らカリフォルニアワインの通信販売を始めました。
この頃東京には同じような不満や問題意識を持っていた人たちが徐々に増えていたため、外国人ビジネスマンを中心に支持されました。人間味あふれるワインの世界の面白さに目覚めていったキャンベルは数年後証券会社を辞め、「現地で気軽に楽しまれているワインをリーズナブルな価格で」をコンセプトに本格的なビジネスをスタートしました。当時の品揃えはシャルドネなし、カベルネなし、赤はジンファンデルのみという型破りなもので、そして価格は徹底的に良心的でした。カリフォルニアの名を世界に広めたシャルドネやカベルネのすばらしさは認めつつ、それ以外の当時マイナーな品種、殊にジンファンデルというユニークなブドウ品種のすばらしさを広めたいと考えていたためです。
会社名は東洋の神秘的な七福神の一人「布袋」の名を取り、「布袋ワインズ」としました。布袋ワインズのポリシーに共感下さる皆様のご協力の下、現在も個性と品質、コストパフォーマンスのバランスの取れたワインを広めるべく努力を続けています。
物流拠点を地価の高い東京ではなく栃木県足利市に置くなど徹底したコストダウンを行い、品質に関わるもの以外のコストを抑え高品質なワインを適正な価格で楽しめるようヴァリューを追求しています。
一口飲めばカリフォルニア産であると分かる豊かな果実味と個性を持つものから、ヨーロッパ産にも引けをとらないエレガントさを表現するワインまで、カリフォルニアワインは実に多彩です。これらのスタイルのワインにはそれぞれ、それを愛する人々が存在します。それぞれのタイプの中で常にベストなものを選ぶ事が最も重要な仕事です。
布袋ワインズではワインの買付けをすべてチームテイスティングによって決定します。キャンベルが現地の人脈を駆使して情報を収集、一軒一軒造り手を訪問し、日本へ持ち帰った膨大なサンプルの中から個性とコストパフォーマンスを併せ持つものだけをセレクトするべく、スタッフ全員でテイスティングを行います。スタッフはそれぞれに好みが違うため、様々な意見が飛び交いますが、このシステムによりバランスのよい品揃えが可能となります。